
一品本舗が生まれた理由
「地方名産を全国へ」「ネットが地方を救う」「産直革命」・・・
1996年から本格的に普及し始めたインターネットは、まるで地方の救世主であるかのように謳われ、様々な取り組みが展開された。
しかし、本質的には違う。
ネットはあくまで手段であり、時間と場所と空間の制約から解放されるという革命的なベネフィットを提供したが、その上で何をどうするかはあくまで使い手に委ねられるのだ。
また、ネットでの情報閲覧も年々変化していった。
国内トップシェアのYahoo!はかつて「サーファー」と呼ばれる人間が手動で一件一件登録していた。
ウェブサイトの数も限られていた時代はベストな方法と思われたが、次第に追いつかなくなっていく。
2001年にGoogleが日本にも上陸し、コンピューターのロボット(クローラー)によって登録・順位付けされる方式が採用され、Yahoo!も取り入れていく形となった。そして現在、そのYahoo!の検索エンジンは日本ではGoogleが採用され、事実上Googleに一本化された。
SEO(検索エンジン最適化)も数年の間に大きく変化した。
当初はキーワードの詰め込みなど、テクニック的な手法で順位が変動する時期もあったため、無料有料を問わず様々なSEOサービスが登場した。
しかし、Googleのスパム対策やアルゴリズム(順位付けのルール)も日々刻々と変わり、今ではテクニックだけで順位が上がることはほとんど無くなってきている。
そして今、ソーシャルメディアの時代に突入している。
YouTubeやブログがニュースソースとして報道されるようになり、特に今年は東日本大震災の影響もあってTwitterやFacebookの普及活用もかなり広がってきた。
ただし、どんなサービスがどれだけ利用者数を抱えているかはあまり大した問題ではない。
重要なことは、誰もが使えるレベルまで各サービスが「こなれて」きたことによって、今までマスメディア中心だった情報の受発信スタイルに大きな変化が起きていることに意味と価値があるといえる。
また、技術の一般化と普及によって、今まで情報の閲覧者だった人々が同時に発信者にもなっていく過程において、数多くの闇が浮かび上がっていった。度重なる産地や原材料の偽装、やらせ問題などの発覚によって、人々の情報源に対する信頼性は大きく変化し、従来のメディアよりも「知人の推奨」や「ネット上の消費者の意見」が信頼されるようになってきた。
「広告が効かない」「モノが売れない」「安売りはやむを得ない」・・・
そんな声が数多く聞かれるようになっていく一方で、今まで注目もされなかった商品がロクに広告もしないのに飛ぶように売れたり、海外から注目されるようになってきた。
この流れは明らかに今までとは異なるものだった。
地方発、全国へ
ネット上でそのような状況変化が起きている間に、地方経済は様変わりした。
商店街が空洞化し、郊外の大型ショッピングセンターが消費の中心地となり、地方においても資本規模が勝負の明暗を分けるようになってきた。
同じ商品を買うのであれば、安い方が良いに決まっている。
そんな中、B-1グランプリの誕生はグルメをきっかけとした地方活性化を促進した数少ない事例だが、グルメだけでは地方経済すべてを浮上させることは難しいだろう。
舘田は毎年地元の青森に帰省するたび、このような状況を何とか打開できないかと思い悩むようになっていた。
地元の人はみんな知っているが、県外の人にはほとんど知られていない良い商品がたくさんある。
IT業界で仕事をしていると「どうしてあの商品をネットで売らないのだろう」と思わずにはいられない。
何とかできないかと考えながらも、有効な手立てを見いだせないまま、時は流れていった。
日本発、世界へ
わずかここ1-2年の間に、アップルのiOS(iPhoneやiPad、iPodTouchなど)上で販売されるAppStoreやGoogleのAndroidマーケットなどがインターネットを通じて世界億単位の規模で同時に展開・普及していくことによって、コンテンツやソフトウェアを世界に向けて億人単位へ売り出していく土壌ができあがった。
情報が世界規模かつ同時に流通するネットワークの下地ができつつある。
資源を持たない日本にとって、これからの経済活動を維持発展していくために大切なのは、とにかく外貨を稼ぐことだ。
まず県内から県外へ販路を広げ、そして将来的には県内から海外へも展開していくことによって、良質な商品を必要とする人に適価で届けていく。
言語と文化の問題は必ず時間が解決してくれるはずだ。
ネットの進化と普及、そして物流網の整備と進化が伴っていくことにより、遠くない将来、マーケットは世界を相手にしていくことが可能となる。また、そうしていかなければならない。
大切なのは、このネットワークやプラットフォームに共通した特徴として、これらを利用できるのが大手企業や限られたお金持ちだけではなく、誰に対しても平等に機会が開かれているということである。
資本力を持たなくても、たとえ個人であったとしても、良質なものであればその良さが評価されて世界中のどこかで買ってもらえる時代が、ソフトだけでなく物販の世界にも間もなく訪れるだろう。
情報と物流が真の意味で「フラット」になったその時、問われるのは商品やサービスが持つ本来の「価値」である。
また、国内でも大手EC事業者が海外展開を加速している。
今はまだ過渡期であるし、出店や販売のためには多大なリソースを割く必要がある。
だが、必ず技術的・物理的な課題は時間が解決するだろう。そして、その恩恵は誰もが公平に、しかも安価に享受できる環境が整うに違いない。
我々は自らの持つスキルやノウハウを惜しみなく用いることによって、作り手と消費者双方にとっての道先案内人として役立つことによって、ビジネスを作り上げていきたいと考えている。
その思いが、起業の原点なのである。
起業メンバーとの出会い
取締役 松尾 茂起
「SEOとソーシャルメディアのプロフェッショナル兼ミュージシャン」
2010年、舘田がぐるなびウエディングで事業責任者を務めていた終盤、SEOをさらに追求していくためにどうすれば良いか思い悩んでいた際、コンサルティングを依頼するパートナーを探し求めていた。
それまで大手のSEOコンサルティングをほぼ全て導入し尽くしていたため、パートナー探しに苦慮していたところ、検索によってSEOを題材にした歌「恋のSEO!」と出会う。
それがきっかけで松尾が経営する会社「WEBライダー」を知ることとなり、依頼することになった。
彼が提案するSEOはテクニックに偏ったいわゆる「力業」は一切無く、ソーシャルメディア時代の到来を予測した先見性のあるものだった。
そこでの取引経験と実績をきっかけに、舘田の退職後も付き合いは続き、一品本舗の草案について相談したことがきっかけとなってスタートアップメンバーが集まっていくことになる。
取締役 古荘 貴司
「CMSと農業のプロフェッショナル兼バイヤー」
2010年、東京の渋谷で開催されたIT飲み会の場で知り合う。
実際に会ったのはこの時が初めてだったが、実は2009年に舘田がぐるなびウエディング在職時、大手結婚式場会社のウェブサイトリニューアルプロジェクトにおいて、彼の会社が開発していたオープンソースのCMS「SOY CMS」を採用しており、その能力と実績を高く評価していた。
彼の社名である「日本情報化農業研究所」の名の通り、農業にも造詣が深く、そして実は以前バイヤーをしていた経験もあり、第一号の「一品ハンター」として活躍することになる。
取締役 三河 正宜
「技術と開発のプロフェッショナル兼ギタリスト」
2010年、一品本舗プロジェクトの創設に伴い、開発のための優秀なエンジニアを必要としている際、もともと付き合いのあった松尾によって紹介された。
寡黙気味だが、酒を飲むと内に秘めた熱い想いを語ってくれる熱血漢でもある。
今まで様々な企業を相手に開発を手がけて得てきた知見と優れた分析力で常に冷静に仕事をこなす。その徹底したプロとしての仕事人ぶりが高い信頼を獲得し、後に合流することになる。
事業計画のない新規事業「儲けは後からでいい」
出張やイベントなどで出会うたび、常々地域活性化の想いやアイデアを飲みながら語っていたある日、松尾がこう言った。
「そのプロジェクト、一緒にやってみませんか?メンバーにも心当たりがあるので声を掛けてみます」
2010年の夏のある日、4人が集まった会場は京都大学のベンチャー・ビジネス・ラボラトリー。
京大に開発室を持つ古荘が手配してくれていた。
それぞれ本業を持つ4人の社長(舘田・松尾・古荘・三河)が一堂に会し、舘田が思い描いていた新規事業のプランをベースに、このラボを拠点とした泊まりがけのブレスト合宿がスタートした。
通常の場合、新規事業に参画するかどうかは、その事業の将来性や成長性を計った上で検討されるものだ。
また、知り合いとはいえ、お互い出資までして一緒に事業をやろうというのだから、収益性も含めて慎重に検討するはずだ。
しかし、この4人はこの合宿中、最初から最後まで「儲け」についての話題を口にすることはなかった。
この事業の可能性や社会性、そして意義を信じて、自らのリソースを持ち出して出資することに全員が同意したのである。
iPadはネットショップを変えるか
舘田の草案はこうだった。
その年の5月末に発売されて話題を呼んでいたiPad。これがネットショップ運営の救世主になるのではないかと考えていた。
iPadは指先のタッチだけで操作ができるタブレット端末で、今までの液晶端末と異なり複雑な操作を必要とせず、キー入力も最低限で済ませることができ、通信モジュールが内蔵されているため屋外でも通信ができる。
また、バッテリー容量も大きいため一日中外出先で使うことができる。
何よりも、銀行ATMのように直感的にマニュアル不要で操作することができるメリットは大きいと感じていた。
このiPadは、AppStore でソフトを購入した利用できるだけでなく、開発環境も提供されているため、専用のアプリを開発することができる。
iPad一つでネットショップが開設、運営できるサービス「Store Pad(ストアパッド)」としてサービス名称も決まり、いよいよアプリの開発もスタートした。
ちなみにイメージキャラクターは「オカメインコ」に決定し、ログを含めたデザイン開発も進んでいった。
アプリの開発はトントン拍子で進み、打ち合わせの後すぐ三河が開発し、iPadの実機で確認できるレベルまで出来上がっていた。
収益の柱はサービス利用による月額課金と売上に応じた手数料の二本立てとし、ネットショップを成功に導く様々なアイデアや機能が実装されていくことになっていた。
このペースで行けば2010年内にはサービスを開始できそうだ。
順風満帆に準備が進んでいるのは誰の目から見ても明らかだった。
しかし、そんな中でメンバー全員の中にある疑問が浮かんでいた。
「本当にこれでいいのだろうか?」
振り出しに戻る。そして、再スタート
常識的に考えれば、このタイミングで疑問を呈することはプロジェクトを空中分解させかねないほど危険な行為である。しかも、機能追加やサービス内容の見直しというレベルであればまだしも、メンバーの懸念はそんなレベルではなかった。
「本当にこれで商品が売れるんだろうか?」
誤解のないように説明しておくと、開発しているアプリやサービスについて懸念を持っていたわけではなかった。
本質的に何か大切な要素を見逃しているのではないかということを、みんなが肌で感じていたのだ。
確かに、iPadで簡単にショップを開設・運営できるサービスはまだ世の中に出ておらず、ニーズもきっとある。
しかし、新規開店したネットショップが世の中に認知され、興味関心を持たれて購入してもらうための道のりは長い。
その道のりを乗り越えてもらうことはできるだろうか。
いや、そもそも我々がアプローチしたい対象層は誰なのか?
ネットショップをすでに開設している人ではない。むしろ、その土俵に何らかの理由で上がれていない人々や商品を世に出すことだったはず。
今のプランがそのベストな回答なのか、成果を上げていくことができるのかなど、もう一度よく検討すべきではないかと考えた結果、どうしてもこの疑問をクリアにしておきたかったのだ。
そしてなによりも、このタイミングで再検討する最大の理由であると考えたポイントがあった。
プロジェクト始動後、実際に大手ショッピングモールへ出店したり、自社でショップを構築して営業している事業主へのヒアリングやリサーチを重ねていくうちに重大な事実が浮かび上がってきたのである。
「ネットショップは、成功して売れまくっている店舗と、全く売れていない店舗の二極化が極めて激しく、その理由は必ずしも商品の良し悪しに左右されていない」
良い商品を持ちながら全く売れていないネットショップが多すぎる。
これはショックだった。
しかし、冷静に考えれば確かに考えられる事態だ。
ショッピングモールを見てみれば分かる。
安売り、ポイントX倍、共同購入、タイムセール、ランキング祭りなど、定価とは一体何なのかと思うような施策のオンパレードである。
モールの外を見てみても、リスティング広告の出稿状況や価格比較サイトなどを見ると厳しい戦いが繰り広げられている。
もちろん、これらの販促手法を否定したり批判しているわけではない。
この戦いの場に参加するために必要なリソース(ヒト・モノ・カネ)がどうみても増大しており、全員が参加できる環境ではないため、結果的にその場に参加できない店舗や商品は良し悪しに関係なく埋没してしまうのである。
「StorePadではダメなのではないか・・・」
個性の違うキャラクターが集まって作り上げてきた一つの企画案。
しかし、ここではメンバー全員が事業の方向性を転換する必要があるのではないかと思っていたのだ。
そこで急遽、泊まりがけの企画合宿を行った。
その時、全く新しいコンセプトが誕生することになる。
180度の大回転、そして再スタート
まず、今までのiPadアプリ開発をベースとしたサービス提供という方式を全面的に白紙撤回した。その上で、ゼロベースから大切な要素を再整理してまとめてみた。まず、ミッションを再定義。
「我々は、ネットショップの仕組みを提供するのではなく、ネットショップの売れる仕掛けを提供する」
こう、新たに定義づけた。
その上で、サービスの骨子となる特徴を作り上げていく。
会議室に置かれたホワイトボードがみるみる黒くなっていく。
- 取り扱うアイテム数は一店舗一品のみとする
-
一つの店にたくさんのアイテムが並んでしまうと、相対的な一商品あたりにかけられるセールスパワーがダウンしてしまう。
また我々は、たくさんのお店でたくさんの商品を知ってもらい、買ってもらいたいと願っている。
限られたリソースをフル活用できる領域は一店舗一品が最適であると考えた。 - 既存のネットショップで販売しているものは取り扱わない。
もし取り扱う場合は現在のショップでの販売を停止していただく(※店舗での小売や頒布方式での販売を除く) -
一般的には、多店舗展開して少しでも販売の間口と機会を広げた方が売上を最大化できるかもしれない。
しかし、実際には商品を並べただけで売れるわけではなく、値引きやポイント合戦など、様々な負担が発生してしまう。
我々がターゲットとしている層は「これからネットショップに販路を広げようとしている」方々が中心となるので、余計な出費は避けていただきたいと思っている。
ただし、出店しているアイテム以外を他の拠点で売っていただくことは特に禁止していない。 - フィーは売上に応じて頂戴する完全成功報酬型とし、初期費用や月額費用は一切徴収せず、必要な経費は全て我々がリスクを負って負担する
-
せっかくの良い商品を持ちながら、売れるかどうか分からない時点で少なくない出費やリソースの供出を伴うのは大変なことである。
それは、勇気や自信の有無とは関係なく、自分達の商品とビジネス、関係者を守っていくという使命と信念に基づいている場合が多い。我々は、良い商品を売る自信があるからこそこのモデルを立ち上げる。
であれば、我々自身が積極的にリスクを取った上で、売れてから初めてフィーをいただく形でも成り立たせていくことができると考えた。 - 出店に必要なページの制作やコピーライティングなどは出店者からヒアリングの上で我々が実施する
-
それぞれの商品の専門家である作り手の皆さんと比べた際、我々は決して全ての商品に詳しいわけではない。
ただし、販売先は我々と同じ「一般」の人が対象となるため、一般の人でも理解できる分かりやすい表現が必要となってくる。
作り手の方に色々とヒアリングさせていただき、教わりながらも、それを世の中に咀嚼して具体化することが我々の役目だと考えている。 - ショップページ開設後の商品ページ改善や広告、販促活動も全て我々が費用負担の上で請け負う
-
モールへの出店や自社展開にどの種類にかかわらず、お店を開設してそのままになってしまうケースが非常に多く、ここにネットショップが上手くいかない原因の一つが潜んでいる。
お店はあくまで注文の受け皿であり、その前にいかに商品を認知してもらい関心を持ってもらうか、そして集客した後にいかに理解してもらって購入してもらうか、それぞれのステップに応じて色んな仕掛けが必要となる。
その肝を、専門家の我々が担っていくことも大きな特徴の一つである。 - 「逸品の価値あり」と見なすことができる良品のみを提供することに努め、出店希望された商品を取り扱うかどうかは我々の審査によって決定する
- 我々が全てのリスクとコストを背負って出店いただく以上、残念ながら何の商品でもOKというわけにはいかないため、我々や外部の協力者の力を借り、逸品と思える商品を選定させていただく。
その際の審査基準はあくまで一般顧客目線となる。
また、惜しくもそのまま商品販売が難しい商品についても、出来る限りのフィードバックやリクエストを行い、相互協力のもと出店に向けて努力していくものとする。 - 売っていくために必要な過程において、出店者側との協力体制構築が可能であることを出店の前提とする
-
商品ページを制作する過程も大変だが、出店した後の努力の方がはるかに大変なことが多い。
その時に商品を販売していくための知恵と工夫をする上で必要不可欠なのが作り手の方々との協力・信頼関係である。
売れるか売れないかという単純な話ではなく、時には商品や包装の中身にまで踏み込んだ上で、お互いにより良い商品作りをしていくことに同意していただける出店者とタッグを組んでいきたいと考えている。
正直なところ、このようなスキームの組み方はビジネス上の算段からすればハイリスク・ローリターンにしか見えないかもしれない。特に大手企業は手を出しづらいモデルだろう。
だからこそ、小資本・少人数で立ち上げていく我々にしかできない。
そこに敢えて挑むことに、我々の存在意義と価値があると考えた。
舘田「これでいきますか」
松尾「やりましょう」
古荘「それでいきましょう」
三河「いいんじゃないですかね」
話は決まった。
みんなが同じ問題意識を持っていたからこそ、いち早く結論がまとまったと言える。
実は、アプリ開発の中心を担っていた三河の反応が気になっていた。
開発者にとって、開発途中で仕様変更されたり中止になることほど辛いものはない。しかし三河は決して勢いやノリや感情だけで発言しない沈着冷静タイプだ。心中決して穏やかではなかっただろうと思うが、理解して受け入れてくれたことに心から感謝している。そして、このモデルをより成功に導くため、iPadアプリが必要とされるタイミングが必ず訪れると確信している。
ところで、サービス名称はどうするべきか。
サービスの内容がガラリと変わることから、「StorePad」ではなく、新たなサービス名を名付けることになった。
色々とある特徴の中で、一品のみ扱うという点が一番コンセプチュアルなポイントだと考え、ここに焦点を絞って様々なネーミング案が検討されたが、最終的に「一品本舗」とすることでメンバー全員が合意した。
これが、現在の一品本舗誕生の瞬間である。
プレオープンサイトの開設とプレスリリースの発信
こうしている間にも、ECを取り巻く環境は激変していた。
日本の大手事業者は海外展開を加速し、アジアをはじめ世界進出の基盤を作ろうとしていた。
逆に地方展開を加速し、都市部以外からの出店・出品を増やそうとしている事業者も見受けられた。
一品本舗としては、いち早くこの理念を掲げ、ビジネスモデルへの理解と出店への協力を得たいと考え、プレオープンのサイトを立ち上げる必要があると考えた。
2011年5月10日。株式会社一品本舗の登記完了と同時に、プレオープンサイトを開設し、プレスリリースを配信した。
まだなんの知名度も実績もない。
本サイトが立ち上がったわけでもない。
・・・にもかかわらず、当日を含めて20社以上から問い合わせや出品希望をいただくことができた。
一品本舗に対する期待と関心の高さを実感すると共に、このプロジェクトは絶対に成功させなければならないというプレッシャーを背に、新たな挑戦が今、はじまった。
テーマソング誕生そしてライブ出演
会社の設立準備に忙しい最中、時を同じくして、メンバーの松尾からある提案が持ちかけられた。
松尾「今度、うち(WEBライダー)でビズロックというビジネスマン向けのライブイベントをやるんですけど、一品本舗も出ませんか?」
舘田「え?ライブ?ていうか、曲はどうするの?」
松尾「もちろん、(僕が)作りますよ!!」
舘田「誰が歌うの?」
松尾「そりゃもちろん、代表の舘田さんですよ。うち(一品本舗)のメンバー、みんな楽器演奏できますし、一品本舗をPRするいいチャンスだと思うんですけど。じゃ、エントリーしておきますね!!」
舘田「え・・・」
一品本舗のテーマソングを作り、ライブステージで熱唱するというとんでもない企画が立ち上がった。
一品本舗が実際に出演し、テーマソングを熱唱したイベント「ビズロック」
我々の情熱を伝えるための場所は、ネットの中だけでは抑えきれなかった。
熱い思いをもと多くの人に伝えたい。
そして、松尾により一つの歌が届けられた。
一品本舗テーマソング
作詞・・・舘田 智/松尾シゲオキ
作曲・・・松尾シゲオキ
演奏・・・ボーカル:舘田 智、ピアノ:松尾 茂起、ギター:古荘 貴司、ギター:三河 正宜
やがて君は気付くのでしょうか?
安物買いの銭失いに
やがてきみは もとめるのでしょうか?
人生を変える一品を
I love this forever
I love this forever baby
I love this forever
愛は永遠さ
I love this forever
I love this for ever
価値あるものが読んでいるぜ
一品本舗
一品本舗
一品本舗
一品集め
一品本舗
一品本舗
一品だけ集めているショッピングサイトです
そして君は必ず動き出す
日本を変える新たな旅に
そして君はきっと作り出すのさ
世界へはばたく一品を
一品 is forever
逸品 is forever baby
一品 is forever
真実は一つ
一品 is forever
逸品 is for ever
魂込めて送り出すぜ
一品本舗
一品本舗
一品本舗
はばたけ 明日へ
一品本舗
一品本舗
本物だけ集めているショッピングサイトです
本番前に揃って練習できたのはたったの1回。
そして本番当日を迎えた。
リハーサルを経て、いよいよ本番のステージを迎えた。
の曲と歌詞には、間違いなく我々の一品本舗にかける思いが込められている。
演奏や歌の上手い下手よりも、その思いを熱意もって伝えられるよう、心を込めて腹の底から熱唱した。
この日のために特注で作った一品本舗の法被を羽織り、一品本舗にかける思いの丈を叫びまくった。
当日の模様はUstreamでも中継され、ビズロックは大盛り上がりのうちに終了した。
結果的に振り返ると、普段お互い離れた場所にいながらプロジェクトを進めていく中で、4人のメンバー全員が一つの曲を演奏し歌い上げるという「バンド」の経験を積むことが、一つのビジネスを作り上げていく仲間として、お互いの結束をより強固なものにする良い機会となった。
音楽は時間と距離を越える。
故郷、青森へ

舘田の出身校である黒石商業高等学校。
この学校の4つ上の先輩に、須藤氏がいた。
2010年の春に開催されたCSS Nite in AOMORIにおいて偶然知り合い、高校の先輩ということで日頃ネット上でやり取りをしていたが、一品本舗のニュースを聞きつけた先輩から連絡が来た。
「地元で一品本舗の説明会を開いてみないか?」
須藤氏が青森県黒石市の商工会議所の専務理事に話を持ちかけてくれ、商工会議所側も協力してくれることになった。
大変ありがたい申し出を引き受け、ついに、初めての一品本舗説明会が舘田の地元である青森県で開催されることになった。
この説明会開催後、たくさんの方からお問い合わせをいただき、現在出店に向けて交渉中の案件も幾つか出ている。
今後も、他の都道府県、全国各地で商工会議所や生産者団体向けなどの説明会を開催していきたいと考えている。
一品本舗の一品目を探し求めて
サービスの提供条件や商品ページの仕様、デザインやシステムの要件、さらには規約などの法務面に至るまで、さまざまな準備が急ピッチで進められていく中、一品本舗の「一品目」を何にするか、交渉中の案件の中から決める必要があった。
その中で、兵庫県の明石で水産業を営む明石櫻庵株式会社が作る「いかなごの釘煮」に白羽の矢が立った。
取締役であり、一品ハンターでもある古荘が担当していた案件だったが、実際に漁師の舟に乗り込み、漁の現場や加工の過程を見ていく中で、「逸品」としての確かな価値を確信したという。
その話や撮影された商品や現場写真を見たメンバーは全員一致で、一品本舗の第一号商品として売り出すことを決定した。
なお、以下は明石櫻庵の雑賀様よりいただいたコメントである。
ぜひ、実際に味わってその逸品の価値を確かめていただきたい。
また今後も出店する商品を徐々に一品ずつ増やしていく。
あくまで一品一品、丁寧に作り上げていき、確かな商品を皆さんにお届けしていきたいと思う。
「量より質」「売上より信頼」の逆説戦略
日進月歩ならぬ、秒進分歩で変化していくインターネットの世界において、通常の新規サービススタート時においては、いかに初期段階でシェアを獲得するか、大量にユーザーを獲得していくか、または売上を確保していくか、スピードが命と言わんばかりに重要視されるケースが多い。
しかし我々はあくまで一歩一歩、着実にサービスを作り上げていきたい。それは、このソーシャルメディア時代が一過性の流行ではなく、たとえ形を変えることがあったとしても、人々の情報の受発信における評価軸が世界的な枠組みで「本物」志向になっていくことを確信しているからである。
旧来のマーケティング手法のように、資金力やテクニックの力押しだけではモノが売れない現代。
一方で、本当に良いものであれば探し求めてでも手に入れたいと願う人々が増えている。
残念ながら、全ての人々のニーズを満たすサービスを提供することは不可能であろう。
たとえ一部の人しか対象にならなかったとしても、それが県内から県外、県外から国外へマーケットが広がっていった時、作り手としては十分にビジネスが成り立つ規模がそこには存在する。
一品本舗はその考えに基づき、良い商品の作り手と、良い商品を求める消費者を橋渡しする案内人・仲介役として皆様のお役に立っていきたいと考えている。
どうか、あなたにとっての「逸品」があったら、是非、一品本舗までお知らせいただけたら幸いである。


